マンションリフォームの相場

マンションリフォームを検討する際、最も気になるのはやはり費用でしょう。 リフォームの内容や規模によって費用は大きく変動しますが、ある程度の相場を把握しておくことで、計画的に予算を立てることができます。 今回は、マンションリフォームの費用相場について、専有部と共用部の違いを踏まえながら解説します。

専有部リフォーム費用

マンションのリフォームで一般的に対象となるのは、住戸内である「専有部」です。 キッチンやお風呂などの水回り設備、壁紙や床材の張り替え、間仕切りの変更などが専有部リフォームに含まれます。 リフォーム内容によって費用は大きく異なりますが、例えばキッチン全体の交換では50万円から150万円程度が相場とされています。 システムキッチンのグレードを上げたり、アイランドキッチンに変更したりすると、さらに費用は高くなる傾向があります。 最新のシステムキッチンは、スマート機能や高機能な換気システム、食器洗い乾燥機などを搭載しており、デザイン性も向上しています。 浴室のリフォームも、ユニットバス全体の交換となると100万円から200万円程度が目安となります。 浴室乾燥機やミストサウナなどの付加機能を加えることで、快適性が向上しますが、その分費用も加算されます。 トイレは15万円から40万円程度、洗面所は10万円から50万円程度が相場です。 これらの水回り設備は、複数箇所をまとめてリフォームすることで、個別に工事するよりも費用が抑えられる場合があります。 例えば、キッチンと洗面所を同時にリフォームすることで、配管工事などの共通部分の工賃を節約できることがあります。 壁紙の張り替えは6畳間で3万円から8万円程度、フローリングの交換は6畳間で6万円から18万円程度が目安です。 壁紙は機能性クロス（抗菌、消臭、調湿など）を選択すると、費用は上がりますが、より快適な空間を実現できます。 フローリングも、無垢材や複合フローリングなど素材によって価格帯が大きく異なります。 間取り変更を伴うリフォームでは、壁を撤去したり新たに設置したりする工事費に加え、内装工事費も発生するため、40万円から300万円程度と幅広くなります。 壁を抜くことで開放的なLDKを実現したり、部屋を細かく仕切って個室を増やしたりするなど、ライフスタイルに合わせた間取り変更が可能です。 マンション全体をリフォームするフルリフォームの場合、費用相場は500万円から1,000万円程度となります。 これは、間取りの変更や内装・設備の全面的な刷新を含む大規模な工事を想定した金額です。 断熱改修や耐震補強などを同時に行うことで、建物の性能を向上させ、長期的な住みやすさを実現できます。

共用部リフォーム費用

マンションの「共用部」とは、エントランス、廊下、エレベーター、階段、外壁、屋根など、居住者全員で共有する部分を指します。 原則として、これらの共用部のリフォームは、個々の居住者が勝手に行うことはできません。 共用部のリフォームは、管理組合が主体となって計画・実施されます。 修繕積立金などが充てられることが一般的で、費用はマンションの規模や修繕内容によって大きく異なります。 大規模修繕工事では、外壁塗装、屋上防水、給排水管の更新などが含まれ、数千万円から数億円規模になることもあります。 ただし、専有部であっても、玄関ドアや窓ガラス、バルコニーなどは、マンションによっては共用部とみなされる場合があります。 これらの部分のリフォームを検討する際は、必ず管理規約を確認し、管理組合の許可を得る必要があります。 例えば、窓ガラスの交換や玄関ドアの色変更などが、管理規約で禁止されているケースもあります。 バルコニーは避難経路となるため、避難ハッチの設置場所を塞ぐような改修は原則としてできません。

リフォーム費用を抑える方法

マンションリフォームの費用は決して安くないため、できるだけ費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。 ここでは、リフォーム費用を抑えるための具体的な方法をいくつかご紹介します。

＊補助金活用のポイント

国や地方自治体では、省エネリフォームや子育て（孫育て）リフォーム、バリアフリーリフォームなどを対象とした補助金制度を設けている場合があります。 これらの補助金を活用できれば、自己負担額を軽減することができます。

各 補助金の申請には条件があったり、申請期間が限られていたりするため、事前にお住いの自治体やリフォーム会社に相談し、利用できる制度がないか確認することが重要です。 また、申請手続きは煩雑な場合もあるため、リフォーム会社にサポートしてもらうとスムーズに進められます。 補助金制度は年度ごとに変更されることもあるため、最新の情報を常に把握しておくことが大切です。

複数業者比較の重要性

リフォーム費用を抑える上で効果的な方法の一つが、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼することです。 リフォーム会社によって、得意とする工事や価格設定が異なるため、比較検討することで、より適正な価格で工事を依頼できる可能性が高まります。 見積もりを依頼する際は、工事内容や使用する建材、工期などをできるだけ具体的に伝え、各社から同じ条件で見積もりを出してもらうことが大切です。 安さだけでなく、担当者の対応や提案内容、過去の実績なども含めて総合的に判断し、信頼できる会社を選ぶようにしましょう。 見積もり内容を詳細に確認し、不明な点は遠慮なく質問することが、後々のトラブルを防ぐ上で重要です。

マンションリフォームの注意点

マンションリフォームは、一戸建てのリフォームとは異なる点に注意が必要です。 ここでは、マンションリフォーム特有の注意点について解説します。

＊管理組合への申請方法

マンションでリフォーム工事を行う場合、ほとんどの場合、事前に管理組合への申請と許可が必要となります。 管理規約で禁止されている工事（構造に関わる部分の変更、共用部分の変更など）を行わないためにも、工事内容を明確にし、必要書類（工事計画書、図面など）を準備して、期日までに申請を行いましょう。 申請時期は管理組合によって異なりますが、一般的に工事開始の1ヶ月前までとされていることが多いです。 早めにリフォーム会社と相談し、計画を進めることが大切です。 管理組合によっては、リフォーム工事に関する説明会への参加や、工事中の騒音・振動に関するアンケートへの回答などが求められる場合もあります。

＊近隣住民への配慮

マンションでは、上下左右に他の居住者がいるため、工事中の騒音や振動が迷惑になる可能性があります。 工事期間中や工事内容について、事前に近隣住民へ挨拶をしておくことをおすすめします。 工事の騒音は、特に日中の活動時間帯に行うのが一般的ですが、それでも気になる方もいらっしゃいます。 リフォーム会社と連携し、工事時間帯に配慮してもらうとともに、近隣への挨拶を丁寧に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。 また、バルコニーや玄関周りなどの共用部分を使用する際も、他の居住者への配慮を忘れずに行いましょう。 工事車両の駐車場所や資材搬入経路についても、事前に管理組合や近隣住民と調整しておくことが重要です。